2018年10月19日金曜日

第29回日本緑内障学会 その8 (1098)

コスモス寺こと般若寺は、コスモス満開(^o^)



モーニングセミナー
モーニングセミナー5
その悩み、解決します! ~緑内障診療に悩むとき~

MS-5
緑内障の進行評価に悩んだら
三木篤也 大阪大

進行評価
NTG の進行速度は、-0.36±0.94dB/。標準偏差が大きい、つまり個人差が大きい。遅い人はいいが、早い人だと70歳ぐらいで中途失明。緑内障は、初期診断も重要だが、その後は、診察の度に進行診断をすることになる。その方法として、トレンド解析とイベント解析がある。トレンド解析、通常MDスロープを求めることで、時間がかかる。時間をかけていいのならこの方法がいい。イベント解析は、ベースラインを作って、そこからの変化を毎回チェックする。イベントが発生したら進行と判断。早く進行の有無が判断できる。それ以外の方法としては、今後はOCTデータのトレンド解析
イベント解析としてのGPA:最初の2回をベースラインとして、進行の有無を判断する。△▲で表示。ある程度進行してしまうと、評価が困難になる。-15dBより悪いと使えない。また最低5回必要で、最低2年はかかるが、それでもトレンドより早い。トレンド解析は、MDVFIスロープ。MDスロープが最も使われているが白内障の影響大きい。-20B程度でパターン偏差からトータル偏差プロットに変化することに注意。バラツキが大きく、判断に苦しむことが多い。結局時間がかかって(5-7年?)困る。バラツキが少ない患者さんでも、6ヶ月に1回の検査で5年以上UKGTSは、2ヶ月に1回という超ハイペースで視野検査したので、2年で結果が判断できた。
※我々が最も知りたいのは、進行速度の早い患者さんの検出。何年もかかって、悪くなってから判断できても遅いわけです。眼圧が高くて、MD-15dBと悪くて、年齢が比較的若いなら、急速に進行していると判断するし、眼圧が低くて、-5dB程度で、高齢なら、進行速度は緩やかと判断する訳です。これが当たらないと臨床判断は苦しいものになります。大丈夫と思っていたら、急速に進行したり、本当は大丈夫なのに、濾過手術してしまっては大変です。

 ・重症度と目標眼圧設定(191614?!
 ・リスク:乳頭出血・眼圧・年齢・落屑・・・これらがあれば、目標眼圧は更に下げる。
 ・OCTデータ:定量データ・再現性の高さ・他覚的検査(※OCTデータと視野の不一致。早期はOCTが、末期は視野がその変化を検出しやすいので。)

早期緑内障(ここではPPG
  OCT解析 緑内障疑いのトレンド解析
 視野異常(+) 2.02μm/Y ※2.5倍急峻。2.5年ぐらいで検出。視野なら4.5年。
 視野異常(-) 0.82μm/Y
※実は、現実にはエラーが多くて、そう簡単に綺麗なスロープを求めることは困難。segmentationエラー、センタリング・信号強度などをチェックしないと。segmentationエラーは、RNFL20%GCC7%も混じってくる。特に緑内障が進行すると多い。Floor effect:悪くなると変化がなくなる。

※結果としては、視野での判断には時間がかかるし、OCTはいいようだが、問題のあるデータが多くて、実は難しい。だったらどうすればいいやら・・・

2018年10月14日日曜日

第29回日本緑内障学会 その7 (1097)





いい天気だけど、ちょっと外へ出れない事情があって、美味しい珈琲をいただきながら、緑内障の勉強。

S6-3
OCT Angiography
光干渉断層血管撮影 (OCT Angiography
庄司拓平 :埼玉医大

OCTA所見にもエビデンスあり? OCT所見:眼圧下降によって、①RNFL↑、②LC厚み↑、③深さが浅くなる。④BMO-MRW↑。OCTAによる乳頭周囲・黄斑部血管密度が緑内障の重症度に関連が報告されている。過去の報告では、眼圧下降で血管密度↑、変化(-)など色々・・。最近は、手術で眼圧下降させると、乳頭・黄斑血管密度改善(+)が多い。
FAZは?:面積拡大と真円率低下の報告。特に中心障害型において。FAZの自動測定可能にしたプログラムを用いたスタデイ:眼圧下がるとFAZ面積↓(中心窩血流↑)(どこまで臨床的意味のあることなのだろう?)

S6-4
The relationship between visual field progression and IOP
視野進行と眼圧
溝上志朗 :愛媛大

1,ヨガのポーズによる眼圧上昇
※このポーズが最も上昇するらしい・・・
2,水泳:ゴーグルのレンズが小さいと眼圧が上昇する。
3,瞬き(10mmHg)・強い閉瞼(80)・眼球運動(10)・調節(3)・・・でも上昇

日内変動について。開放隅角緑内障では視野進行リスクに。PE眼では、眼圧変動大きく、進行速度に影響
座位と仰臥位の差大きいと視野進行。またPACSと比べてPACは、日内変動大きい、PAS広いほど大きい。日内変動が大きいと視野進行する。また、PACGは白内障術後日内変動小さくなる。
日日変動:視野進行リスクにならない(大規模スタデイ)。AGISにおいて、眼圧18達成率と進行リスク:100%達成すると進行阻止可能。低い眼圧と高い眼圧に分けると、低い場合、変動幅大きいと進行している。日本の多施設共同研究(演者参加))(156眼、7.6年)。ここでも、眼圧が低いと、眼圧変動がその進行に影響。
別の638眼のスタデイ(東大)で、年齢と視野進行(高齢ほど早い)、日日変動大きいと進行速度早い。
※日本においては、眼圧変動を抑制する治療が必要だと。

S6-5
Long-term prognosis in normal tension glaucoma
長期データ
澤田明 :岐阜大

緑内障は経過が長い。40年以上に及ぶことも。1人の医師が全経過を見ることは困難。うまくバトンタッチすることが必要。欧米の眼科医419人。NTGに対する治療は、PG88%、ついでブリモニジン10%。視野進行の検出までは時間がかかる。進行速度はバラつき大きい。大規模スタデイも、最長8年程度。超長期に渡るエビデンスは?超長期の評価は、レトロスペクティヴスタデイも重要。
視覚障害の定義:失明0.05以下、視野10°以内(ロービジョン 0.3以下、視野20°以内)。片眼失明 POAG 20年で26%22年で19%NTG209.9%とぐっと低い。最大眼圧の影響は、18以上未満で、片眼失明率有意差あり。リスクファクター:視力・302AGISスコア・眼圧。 
NTG片眼失明率は、他の緑内障より低い。20年で10%片眼失明。初期の視力・視野が悪いと☓。早期発見重要。NTGでも眼圧高いと失明しやすい。

2018年10月13日土曜日

第29回日本緑内障学会 その6 (1096)



☆最近始めた珈琲豆焙煎。この豆はイルガチェフェG1だがウォッシュド。ナチュラルは怖かったもので・・・。美味しいよ・・

シンポジウム6
緑内障眼圧下降治療のエビデンス
1990年代に何故大規模スタデイが多数行われたか?隣の席で、Y先生が、お前知らんやろ・・・って顔で見てます^^; Health Affairs 1988(政府系の権威ある雑誌)で、眼圧下降エビデンスなしと発表されて、エビデンスが必要だったらしい。最新のエビデンスは、UKGTS

S6-1
Evidence of intraocular pressure reduction of preperimetric glaucoma-early glaucoma
前視野緑内障~早期緑内障の眼圧下降のエビデンス
伊藤義徳 東京慈恵医大

PPGにおいてエビデンスはあるのか?眼圧下降は必要なのか?無治療でいいのか?現時点では、明らかなエビデンスがない。(個人的見解だが、PPGをどう捉えているのだろう。視野異常はないけど、眼底写真的に、OCT的に・・・緑内障性変化がある眼? それとも、総合的に判断して、その眼はやがて視野異常が検出されるPOAG/NTGになる一歩手前の状態と考えるのか。もう何十年も初期の緑内障を見ていて、視神経に初期の緑内障性変化があり、例えば ノッチがあってdisc  hemorrhageNFLDがあって、まだ明瞭な視野変化が検出されていない眼って、山ほどる。この時期を神経節喪失ステージと呼んでいる人もいたはず。経験的に、90%以上やがて視野変化が来ると判断するのだが、それでも視野異常が出てくるまで治療しないって判断は罪作り的と感じるだが・・・)
今回FDTマトリックスを用いたスタデイ。マトリックスは、M細胞ダメージを検出。ごく早期緑内障の検出に優れている。中心視野障害は、10-2でもいいが、外側は302では早期検出が困難で、この点ではマトリックスの方がいい。高い眼圧は、鼻側周辺障害で、低い眼圧では傍中心部に障害が多く、眼圧レベルによって障害パターンが異なる。無治療時も治療時も眼圧は:鼻側階段>中心視野障害。PPGにおいても、同様で傍中心型(9眼)(14.1mmHg)より、鼻側周辺型(14眼)(16.9mmHg)の方が眼圧高かった。
OCTで異常を認めてから、視野計で異常が検出されるまでの経過と眼圧の関係について。ラタノ単剤治療。イベント解析で判断。PPGの無治療時眼圧は、進行(+)群>進行(-)群(有意差なかったが・・)、また進行可能性高い群>進行(-)(有意差あり)(※1416ぐらいの差)。また、ごく早期緑内障においても、ラタノ単剤で、⊿眼圧下降大きい(20%以上)と、視野進行抑制されていた。・・・・・治療のエビデンス(+)


S6-2
The relationship between macular visual field and intraocular pressure in glaucoma
黄斑部視野障害と眼圧下降治療
坂上悠太 新潟大

ハンフリー視野計(HFA24-2 MD -6dB 以下の早期緑内障であっても、約 54% が中心 10° 以内に視野障害を伴っていた。 HFA30-2 を用いて長期の視野障害進行速度を検討し、POAG では眼圧値と、NTG では眼圧変動と相関。 
視力と中心窩閾値と相関。30以下だと視力1.0以下に。
 
HFA10-2 での感度低下の進行速度と眼圧との関係は?クラスタ内のTD(ベースライン) クラスタ1: -3.4Bクラスタ2:-14.5Bクラスタ3:-17.8Bクラスタ4:-7.2B、クラスタ5:-12.9Bと、クラスタ1が障害軽く、クラスタ3が障害強い。TD変化率はクラスタ1 -0.28dB/y (※変化率少ない)、-0.48、3 -0.63、4 -0.5、5 -0.69クラスタ1の障害変化率が最も少なかった。やはり中心が障害されにくい。またPOAGと異なり、NTGとは眼圧と変化率に相関ないが、眼圧下降率とは、POAGNTGともに正の相関あった。
10-2のクラスタ分類:クラスタ1(PMB:乳頭黄斑線維束、重要)・2・3・4・5。

 レクトミー前後の眼圧下降と10-2の変化(55眼)。術前6年、術後4年、眼圧は14.810.03mmHgで、MD変化率は-1.01-0.19dB/Yと明らかに改善。視力は全体で低下。術前クラスタ1障害(+)群の評価は、クラスタ1TD変化率、中心窩の変化率は、術前と差なし。また、術前中心窩32dB以上だと進行止まるが、以下だと止まらない。

2018年10月9日火曜日

第29回日本緑内障学会 その5 (1095)




この世界でレジェンドと言えば、私的には、三島済一先生、湖崎弘先生、永田誠先生が浮かぶのだが、もうお会いすることもできないので、Living legend としては、この方しかいないだろう・・・。

LL-3
Invitation to the marvelous naked NTG / 正常眼圧緑内障-裸身への誘い
岩田和雄 新潟大
Legendary Lectureのトリに、ホンモノのレジェンド登場。もう29回にもなる緑内障学会では、毎回元気なお姿をお見かけしていたのですが、自己紹介によれば91歳!このお年で、この元気さは、まさにモンスター。口調というか語り口が、昔のまんま、レジェンドは割れんばかりの拍手に迎えられて登壇。字数を稼ぐためではないが、昔の話をひとつ・・・
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 思い起こせば(?)、平成5724に滋賀で行われた3回日本緑内障学会研修会初日のプログラムは、午後4時半から行われ、テーマは、
『緑内障の視神経障害を考える』 -機械説か血管説か- 座長:三島済一  
機械説:岩田和雄・千原悦夫 vs 血管説:井上洋一・三木弘彦
当時の抄録から抜粋します。
Mechanical theoryを主張  岩田和雄
機械説には直接根拠となる所見が多い。血管説には間接的な推定所見しかない。
機械説の根拠
1)病理所見:機械的障害所見顕著。血管は正常。血管新生全くなし(慢性ischemiaの存在しない証拠)。AXONL.C.チャンネルの変形に弱い。astrogliaは無関心で反応なし。退行性である。
2)局所型のoptic nerve fiber bundleONFBdefectはビームの屈曲の強いところにおきる。ここにはangiospasmus的と判断し得る所見はない。
3)局所型のONFG defect部は12年のうちに血管網が変性消失し、特徴的な蛍光充盈欠損像を形成する。血管閉塞がONFB defectに先行するという実証はない。ONFB欠損のある網膜面でもセクター型の充盈欠損があるが、axon消失に伴うその部の血管網の退行によるものである。
4)Ischemic optic neuropathyは、Glaucomaとは別個のentityである。
5)線状出血は漏出型出血で、血管閉塞型ではない。
6)健常眼圧が同一乳頭の部位によって又経過によって異なることは血管説で説明できない。
メモ:LTGNTGの事)の剖検例では、視神経乳頭陥凹周辺の強膜エッジの部分で、軸索が腫脹している所見あり(機械的に障害)。軸索が脱落しているだけで、血管は正常。篩状板の後方屈曲:ポアの大きさ・ビームの太さは部位によって異なる。
――――――――――――――――――――――――――――――
この発表から25年後の平成30915日、レジェンド登場(^o^) ただ、本人的には、ついにレジェンドにされてしまい、若干悔しい・・・らしい。
緑内障の神経ダメージは、篩状板で。その障害の場とメカニズムはまだまだ・・・。かつて、病理組織所見で、示された機械説を、OCTを駆使して提示?提示された緑内障の視神経の病理組織標本は、昔と同じ?骨折状の篩状板。軸索の絞扼。貯留した軸索流による神経線維の腫大。メカニカルダメージそのもの。prelaminaで軸索脱落。毛細血管異常(-)
孔チャンネル型ダメージ:神経線維障害されると孔チャンネルがくっきり写ってくる。 軸索流貯留により孔チャンネルが拡大された(ブーケ状に開く)後、神経線維が脱落して、はっきり見えるようになる?
篩状板で神経細胞をサポートするアストロサイトが異常活性化mal-remodelingして、神経線維はより障害されやすくなる。前視野緑内障の極早期からその異常活性化サインが高輝度で現れている新所見:Gサイン?(SOAGでは見られない)。
PPA-βの拡大は、ブルフ膜端で圧迫されて軸索流が貯留し腫脹した視神経線維束により網膜が圧排さた結果。脈絡膜は、退行変性萎縮・・・。乳頭出血は、NFLD発生後牽引による破綻。出血の場所は、そこにスペースがある場所に広がる。

25年の時を経て、mechanical theory主張再び・・・。
割れんばかりの拍手、そしてスタンディングオベーション!

2018年10月5日金曜日

新しい緑内障点眼 (1094)





またまた?、またまたまた?緑内障新薬が登場した。今回の新薬は参天製薬と宇部興産から発売される「エイベリス点眼液 0.002%」。主成分はOmidenepag Isopropylで、Omidenepagのプロドラックらしい。選択的EP2受容体作動薬と説明されているが、要するにPG関連薬のよう。

 現在、数ある緑内障治療薬の中で不動の第一選択薬のポジションをしめているのは、PG製剤。個人的には、ラタノプロスト点眼ですが・・。この薬が初めて登場したときの強烈な印象はまだ消えません。ラタノプロスト(キサラタン)登場まで、緑内障治療薬ファーストチョイスの不動の一位は、チモロールでした。このチモロールとサンピロを組み合わせが殆どだった時代に、ラタノプロストの登場は衝撃的で、下手な流出路手術以上の眼圧下降を示しました。その後様々な薬剤がデビューして、消えていったものもありますが、気がつけば10種類もの緑内障点眼が使用可能となっています。そうは言っても、PG製剤・β遮断剤・CAI・アイファガン・ROCK阻害薬の5種類ぐらいが現実的なチョイスですが。PG製剤がダントツのファーストチョイスなのですが、長らくこの薬剤を使っていると、最も困るのがDUESに代表されるPAPです。中には眼圧測定さえ困難になる症例も珍しくありません。このラタノプロストに代表されるPG製剤は、プロスタノイドFP受容体アゴニストと呼ばれて、8種類ほどあるプロスタノイド受容体(FPEP1EP4DPIPTP)の1つに作用しているようです。眼圧下降作用は、FP受容体だけじゃなくて、EP受容体にもあると聞いてました。受容体に作用したあとのプロセスは、若干異なって、前者がカルシウムイオン上昇・・・、後者がcAMP上昇・・・だと。FP受容体アゴニスト発売から、EP受容体アゴニストが発売されるまで、20年近くかかったということは、きっとそれなりの苦労があったのだと思います。

もし、ラタノプロストなみの強力な眼圧下降が得られて、DUESに代表されるPAPの危険性が低いのであれば、多少充血が強くても、炎症惹起作用が強くても、魅力を感じます。長期使用に伴う副作用は、治験担当医師でも知らないだろうし、実際使ってみるしかない。どうしようかな~・・・

2018年10月4日木曜日

第29回日本緑内障学会 その4(1093)




今回の緑内障学会の目玉的講演。レジェンド3人が登場。岩田先生はレジェンドそのものだが、あとの人選が困難を極めた筈。まだ現役の人をレジェンドにする訳ににもいかないし、あまりに高齢で講演もできないレジェンドは選べないだろうし・・・^^;

Legendary lecture
Thinking about the problems in glaucoma therapy in the super ageing society
超高齢社会の緑内障診療を考える
宇治幸隆

宇治先生は、四日市の小山田記念温泉病院という、療養型病床群を多数含むケアミックス病院に勤務されていて、大学病院の眼科教授とは、全く異なるスタンスで診療にあたっておられ、その病院の性質上、超高齢社会の眼科診療に直面されているようです。当然認知症患者さんの比率は高く、検査ができない、点眼ができない患者さん相手の診療の中に、将来日本全体が直面する超高齢社会診療の姿を見て、問題点を提示されていました。若者は減少して、老人人口比率が増加して、認知症患者も増加し、介護スタッフも圧倒的に不足する時代に何ができるだろう?

※緑内障の診療なんて、認知症の患者さんに対して必要な非常に多くの医療サポートの中の、ほんの一部分に過ぎない気がする。緑内障の進行速度よりも認知症の進行速度の方が圧倒的に早く、どんどん検査できない点眼できない状況は悪化しつつ拡がっていく。そうなる前に、手術も完了しておいて、あとは、せいぜい1剤点眼すればいいぐらいの状態にしておかないと無理じゃないかなあ・・・。


Vitreous Humor Dynamics in Normal Rabbit Eyes
Vitreous Humor Dynamics. 
正常家兎眼での検討
新家 眞

レジェンド一人目は、超高齢社会での緑内障臨床に思いをはせたのに、二人目は、現在も真実を追求する若き研究者のような趣。残念ながら東大の先生にありがちな非常に難しい話で、凡人には全くついていけない・・・。とうしようもないので、掟破りだが、抄録を抜粋して記載。
硝子体中の水の動きは、硝子体中に注射された薬物の網膜への到達に影響を与え得る。感覚網膜とRPEの付着力の源は硝子体から脈絡膜側に向かう静水圧差で、以下の3つ。
1.硝子体圧(1mmHg)、
2. 脈絡膜間質と硝子体液の浸透圧差(12mmHg)
3. RPE のポンプ作用による水の動き( 623 µl /cm2/ hr)(根木先生がMormorの所でされた実験?)
実験動物の房水産生量は Jones-Maurice 法で求められるが、この結果は硝子体内の水の動きと眼圧変化の影響を受ける。その点を利用すれば、生体眼での Vitreous humor dynamicsを解析する方法となり得る。正常ウサギ眼では硝子体中を毛様体から網膜に向かって1.52 µl /cm2/ hr の水の流れがあり、それは Acetazolamide 投与で約 35 %増加する事、前述の 硝子体圧は0.08 µl /cm2/ hr、と浸透圧差は、0.9 µl /cm2/ hrこの程度の水の流れでも、拡散の遅い高分子を網膜に向かって押し付けていくには充分である事も明らかとなった・・・・らしい。
※点眼でも十分に有用な濃度が網膜や視神経に届くということをお話されていたが、その根拠となるようなお話なのだろうが、できたら、数学的な話は除外して、わかりやすい言葉に置き換えて聴きたかった。聴衆の多くは、ノックアウトでは?

2018年9月30日日曜日

第29回日本緑内障学会 その3 (1092)



※緑内障学会の復習中。役に立たないようだけど、日常診療の刺激になっているは間違いなさそう。こんな暇な事、いつまでできるのかなあ・・

S5-3
Optic nerve head microcirculation in patients with ADOA and glaucoma
緑内障と遺伝性視神経の乳頭血流
檜森紀子 東北大
提示症例は、29歳男性で、GCC低下しているが、視野異常は軽微(結果が乖離している)。OPA-1遺伝子異常(+) ⇒ ADOA(優性遺伝性視神経萎縮)と診断。この患者の視神経乳頭耳側のLSFGをすると著しい低下があった・・・。この疾患の有病率は、1万から5万に1人。幼少時から中等度視力低下。中心暗点・傍中心暗点。耳側蒼白の視神経萎縮あり、GCCcpRNFLともに低下。NTGとの鑑別が問題。ADOANTGLSFGで比較検討。ADOAは、視力悪い、OCTデータ(GCCcpRNFL)悪いが、MBRも悪いが、視野(MD)は良い。 ADOAの乳頭黄斑線維の脆弱性:篩状板後方は有髄神経。prelaminar RGC axonは、無髄神経線維。この断面積も小さくて、ミトコンドリア異常の及ぼす影響が大きい。またミトコンドリア障害による血管内皮障害による血流低下も・・・・。

S5-4
The vessel density around disc and at macula in non-glaucomatous optic neuropathy
非緑内障性視神経症の乳頭・黄斑血管密度
東山智明 滋賀医大
①球後視神経炎がステロイドパルスで視力回復した例で、GCCcpRNFLは、発症3ヶ月までに低下し、網膜血管密度(VDvessel density)は3ヶ月以降に低下。網膜厚が先で、血管密度は二次的変化の可能性(+)
②虚血性視神経症(非動脈炎性):視野欠損部位に一致して血管密度減少。網膜厚も減少。
③圧迫性視神経症(視交叉での圧迫)も同様に、視野欠損部位に一致して血管密度減少。これも網膜厚菲薄化に続発?
AION急性期は?:血管密度低下?浮腫出血の為、詳細検討困難。※基本的に網膜厚に続発して血管密度減少?

S5-5
Macular vessel density in primary open angle glaucoma
開放隅角緑内障における黄斑血管密度
庄司拓平 埼玉医大
黄斑部内層の毛細血管動態の変化は、緑内障における網膜神経節細胞の需要または供給血流量の変化及び網膜神経節細胞の活動性を反映。卵が先か鶏が先かは不明だが、緑内障疑いでも、OCTでの形態学的変化前に、血管密度に変化あるが、診断能力はなさそう。視野感度とは強い相関あり。形態よりも機能とよく関連。早期の構造的変化は、OCTで検出しやすいが、進行してしまうと、視野との関連は血管密度の方が有利。
FAZの大きさと真円率。中心視野が障害されると、FAZ面積拡大して、真円率下がる。緑内障眼の一部の症例において、大きく変化する症例がある。また黄斑部血管密度低いと、将来の緑内障進行が早くなる。
Wolfram syn:糖尿病網膜症、視神経蒼白、中心視野障害、黄斑部血管密度低下。LHONでも黄斑部血管密度低下。緑内障特有とも言い難い・・

2018年9月25日火曜日

第29回日本緑内障学会 その2 (1091)





シンポジウム5
徹底討論!緑内障 vs 非緑内障性視神経症

視神経萎縮がある場合、それが緑内障なのかそうでないのかは、緑内障っぽいのかそうでないのか、名人が決めるものではなく、科学的なメスが入るとどうなるか・・・そんなシンポジウム?


S51
Is the Optic Neuropathy Glaucomatous or Non-Glaucomatous?
緑内障性 vs. 非緑内障性視神経症
柏井聡 愛知淑徳大

構造的変化    structural change
機能的変化    functional change
進行性  temporal change

1,構造的変化
①虚血性視神経症
73歳女性 動脈炎性AION(蒼白化する)、PCA閉塞・・・でも、1年ぐらい経過すると、視神経にノッチとNFLDがあり、外観は緑内障と同じ。区別不可能。
※緑内障は、乳頭周囲の循環不全あり?PCAの低灌流?
61歳女性 非動脈炎性AION もともと小さな乳頭で、視神経に陥凹(-) (※もともと陥凹ない)
②遺伝性視神経症
常染色体優性遺伝。外観は大きく異なる。両眼の視神経乳頭側が分節状に蒼白萎縮(乳頭黄斑線維束の障害)。OPA-1遺伝子異常。ミトコンドリア分裂・断片化して、神経節細胞のアポトーシスで、絶対回復しない。OPA遺伝子8種類あり、Non syndromic DOAOPA-1/4/5,syndromic DOA(OPA-1/3/8)
※ミトコンドリア病
DOA vs NTG⇒ DOA:視力低下・トリタノピア・中心暗点・周辺正常・辺縁蒼白・DH(-)
2,機能的変化
圧迫性視神経症
NFLD型視野欠損+視力低下:外傷既往なければ、圧迫性。前立腺癌の視神経管へ転移
1/4盲(左上)+視力低下:髄膜腫
1/4盲+視力低下;内頚動脈瘤
※治療で視力・視野回復。中心視力低下早いが、治療で戻る。
鼻側半盲、緑内障様であっても、視交叉病変除外しないように。内頚動脈紡錘状に、視神経圧迫。
※正常の内頚動脈でも、(両側性)視神経圧迫多い。NTG41%(正常21%)。⇒視力低下・色覚異常・乳頭辺縁蒼白・・
3,進行性(時間的変化)
緑内障-1.0dB/年(半分は-0.5dB/年)
短時間でMD低下⇒動脈瘤圧迫。手術で視力・視野回復。


S5-2
The disc rim color of glaucomatous optic neuropathy and compressive optic neuropathy
緑内障と圧迫性視神経症の乳頭色調
中野絵梨:
compressive optic neuropathyCON)とGONの鑑別は?視野欠損は軽くても腫瘍が大きなことも、圧迫解除されると改善するのが特徴。GONと思っていたら、急に視力低下・・動脈瘤に注意。CONGONの鑑別は、CONは乳頭全体が蒼白化するが陥凹浅いが、GONは乳頭陥凹深く拡大して、その後辺縁蒼白に。でも見た目では、上手く行かないことも多い(診断率21%?)。眼底写真から視神経乳頭部分を ImageJで解析。RGB成分を測定して判断(赤みに重み付け)⇒リム色調指数(DCIs)。CONで低下(赤みが少ない)。
DCI:正常>GONCON

リムの色調は?
乳頭血流PCA由来と前篩状板部の毛細血管血流(グリア柱内)が赤みの元だが、血流以外の要素は?グリアの柱構造には光ファイバー効果があり、柱構造が崩れると、血流保たれていても、白く見える。CONでは、NFS束も減るけど、血流の赤みを伝えるシステム構造が減少するので、より白くなる。
※眼底写真⇒AIGON。これはCONにも応用可能。

2018年9月17日月曜日

第29回日本緑内障学会 その1 (1090)




 ついに29回目となった緑内障学会。新潟は緑内障の本場なので、もう3回目。ただ、前回は2004年だったので、14年も経った事になる。個人的には、雪明なんとかという緑内障勉強会を含めると、4回目の新潟。いつも観光することなく、学会場と居酒屋とホテルの3点移動のみ。今回もそうなりそうだなあ・・・。
今回は、先乗りしているK先生とまず晩ごはん食べて、情報収集。私が予約したのは、予想通りレベルの高い鮨屋さんだった。酒の肴も鮨も樹分満足いくものだったが、それだけに、酒のラインナップが残念・・。

http://shop.sake-hokusetsu.com/?pid=92125710

これは好みじゃないなあ・・・・美味しい寿司が台無し・・



 ということで、深酒しなかったので、土曜日はモーニングセミナーから出席。

モーニングセミナー2
エレックスSLTセミナーVol.6  Primary SLTの考察

[演者] 溝上志朗(愛媛大)
このSLTは、かつて行われたアルゴンレーザートラベクロプラスティー(ALT/LTP)と同じようなものと考えていましたが、そうでもないのかなあ・・。原理は、色素を含んだ細胞にレーザーで短時間に加熱して、光加熱分解により破壊するが、周囲には拡散しない短時間照射なので、周囲組織は温存できるらしい。なぜ眼圧が下がるのか、明らかでないが、線維柱帯細胞や貪食細胞が活性化して、線維柱帯機能が再構築?ALTでは、線維柱帯に瘢痕ができて、層構造が破壊されるが、SLTは瘢痕もなく、層構造が保たれる。眼圧下降効果は、ALTと同レベル。長期になると少し劣る。半周か全周か。360°やればラタノプロストと同程度だが、90180°では劣る。やはり360°すべき?120shots160shotsか?これも160shotsがいい。組織破壊(-)が売りなのに、ガッツリ照射すべき?

[演者] 内藤知子(岡山大)
眼瞼の重症点眼アレルギーの写真はツカミ。今更だが、目薬を正しく点眼することは難しい。意外とちゃんとさせなくて、高齢者ほど上手くさせない。それに忘れる。すると眼圧が上がり、視野が狭くなると、更に点眼しにくい・・・・という悪循環に。また、副作用の問題も。ベータ遮断剤による呼吸不全。眼科医も、気管支喘息は注意しているが、COPDは見落としがち。COPDは、40歳以上の8.6%70歳以上の17.4%と言われていて、NTGと同じように未診断のCOPGはその何倍も?高齢者の緑内障にベータ遮断剤を投与する時には要注意。
また、高齢者でも意外と(?)、DUESを気にしている?プロスタグランジン点眼を長期に渡って使っている眼科医は全員悩んでいるでしょうが、この副作用は、deepening of upper eyelid sulcus(上眼瞼溝深化:DUESだけでなく、eyelid ptosis(眼瞼下垂)、involution of dermatochalasis(皮膚弛緩の巻き込み)、orbital fat atrophy(眼窩脂肪の萎縮)、flattening of lower eyelid bags(下眼瞼の平坦化)、inferior scleral show(下方強膜の可視)、tight orbit(狭い眼窩)が報告されていて、Prostaglandin associated periorbitopathyPAP)と言われている。ここで、tight orbit syndromeという言葉が出てきたが、眼圧が高い(3050mmHg、真の眼圧上昇? GATiCare)、眼圧測定困難、レクトミーやアーメドが成功しない。
 ・・・・つまり、こんな問題の多い緑内障点眼を開始する前に(途中で)、SLTを行うのはどうか?SLTはトラバタンズ点眼と同様の眼圧下降効果があり、アドヒアランス低下するとSLTが優位。初診の緑内障患者さんに点眼開始する前にSLTを試みる。3人に1人は無効であることを告げてから
※隅角の線維柱帯への色素沈着が少ない方がいい?元々のターゲットは色素細胞だったのに、現実の成績としては、色素は少ない方がいい?少しバブルが出る程度の強さで打つのだが、色素が多いと照射エネルギーが少なくなるから?何だか原理と矛盾するようだが・・。意味があるのかどうか(有意差なし)、術後ステロイドやNSAIDは使っていない(演者)。

[演者] 新田耕治(福井済生会)
治療の第一選択としてSLTを行うprimary SLTと、点眼を12つ入れた後にSLTを行うのかで、その効果が異なるのかどうか?(そういえば、昔、primary レクトミーって話があったなあ・・) 124174194回の成績は、病型別には、POAGじゃなくて(生存率1.9年:outflow pressure20%以上)、NTGが最も有効で(生存率3.9年)、PEが最低(0.8年)。
※ΔOPは上強膜静脈圧を10 mmHgとし,ΔOP=SLT前眼圧-SLT後眼圧)/SLT前眼圧-10)×100
 st ライン VS 2nd ライン以降は、生存率3.9 vs 2.0年と大きな差があると。1年で86.1 v s53.55年で44.4 vs 17.8%。(元々ALTの効果に懐疑的で、SLTには更に懐疑的で、しっかり焼けばいいのに弱かったり、360°やればいいのに、90だったり、160発近くうてばいいのに、100以下だったり、色素が多い症例に弱いパワーだったり・・・・それは効かない筈?)。どうせやるなら、1stラインでがっつり?
 元々、組織破壊しないので、再照射でも再々照射(2nd)でも有効だと聞いていたのだが?確かにそれなりに有効で、特に初回照射が有効な場合は、再照射(2nd)も有効。初回より少し効果は劣るが。再々照射(3rd)は再照射より、再再々照射(4th)は再々照射(3rd)より劣るので、2回が限界? (生存率:初回照射3.0年、再照射2.3年)
NTG12mmHg下降でも⊿OP20%になるので、統計解析は難しい・・。⊿IOPなら15%程度?

質疑:
l  色素が多いから効く・・・・って事はない。むしろ逆。(溝上・新田)。照射エネルギーをバブルを目安にすると、色素が多いとエネルギー少ない。これは影響?
l  1st lineが一番いい。2nd以降でも、結構効いてる印象(内藤)。
l  副作用殆ど無い・・。
l  術後点眼(ステロイド・NSAID)なし









第29回日本緑内障学会 その8 (1098)

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